<働くシニア世代の方、必見!>在職老齢年金の仕組みについて徹底解説

在職老齢年金とは

 老齢厚生年金の受給権者が、在職中すなわち厚生年金保険の被保険者であるときは、支給される給与等の額と老齢厚生年金の額とに応じて調整が行われます。

 この仕組みを在職老齢年金といいます。

 在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給する月に適用されますが、新たに被保険者の資格を取得した月は除かれます。また、退職日の属する月までの適用になります。

 平成27年10月からは、昭和12年4月1日以前に生まれた70歳以上の者、共済加入者および議員についても在職老齢年金の対象になりました。

60歳代後半の在職老齢年金について

 60歳代後半の在職老齢年金は、総報酬月額相当額と老齢厚生年金(基本月額)との間で、以下のような調整を行います。

 老齢厚生年金の受給権者が、厚生年金保険の被保険者である日が属する月において、その人の総報酬月額相当額(※1)と基本月額(※2)との合計額が支給停止調整額(48万円)を超えるとき、その月の老齢厚生年金について支給停止基準額(※3)に相当する部分を停止します。

 ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全額が支給停止となります。

 ちょっと分かりずらいですね。分かりやすく、まとめると次のようになります。

(1)総報酬月額相当額と基本月額の合計が、支給停止調整額以下である場合 → 支給停止なし(加給年金も全額支給されます)

(2)総報酬月額相当額と基本月額の合計が、支給停止調整額を超える場合 → 支給停止基準額=(総報酬月額相当額+基本月額ー支給停止調整額)×2分の1×12(加給年金は全額支給されます)

(3)支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上である場合 → 全額支給停止(加給年金も全額支給停止されます)

 なお、経過的加算額は、在職老齢年金の対象とならず、全額支給されます。

 また、在職中に総報酬月額相当額が変更になると、総報酬月額相当額が変動した月から、新しい支給停止額にもとずいて支給額が改訂されます。

それ以外の在職老齢年金について

1)60歳代前半の在職老齢年金については、令和4年4月から実務上は、60歳代後半の在職老齢年金と同様の取り扱いになります。

2)70歳以上の在職老齢年金も、60歳代後半の在職老齢年金と同様の取り扱いになります。

3)昭和36年4月2日以後生まれの男子、「昭和41年4月2日以後生まれの女子、船員,坑内員」が繰り上げ支給の老齢厚生年金を受給している場合も、60歳代後半の在職老齢年金と同様の取り扱いになります。

4)障害者、長期加入者である特別支給の老齢厚生年金の受給権者の場合は、基本的な支給停止額の計算方法は、60歳代後半の在職老齢年金と同様ですが、異なるのは、定額部分(加給年金額を含む)が無条件に支給停止される点です。なお、定額部分(加給年金額を含む)は、60歳代後半の在職老齢年金の計算時に適用されます。

5)坑内員、船員である特別支給の老齢厚生年金の受給権者の場合は、基本的な支給停止額の計算方法は、60歳代後半の在職老齢年金と同様ですが、異なるのは、支給停止額の計算は定額部分(加給年金額を除く)の全額について適用される点です。

注釈(用語の解説)

(※1)総報酬月額相当額: 老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者である日が属する月において、その人の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額を合算した額

(※2)基本月額: 加給年金額と経過的加算額を除いた老齢厚生年金の額を12で除して得た額

(※3)支給停止基準額: 総報酬月額相当額と基本月額の合計額から、支給停止調整額(48万円)を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額

 

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