<家事等をすると支給されない?>傷病手当金と出産手当金の違いに注意!

 健康保険の傷病手当金または出産手当金を受給されている方は結構いらっしゃると思いますが、「受給中に家事等を手伝っても大丈夫?」と気になるところだと思います。「支給制限をうけるかどうか?」の判断は、傷病手当金と出産手当金では、その扱いは大きく異なっています。

傷病手当金の場合

 傷病手当金とは、「病気や怪我による休業中に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度」のことです。

 傷病手当金の支給要件の一つに「被保険者が療養のため労務に服することができない場合」というのがありますが、この「労務に服することができない」という基準は、「その被保険者の従事する業種等を考慮して、本来の業務に耐えうるかどうか」を社会通念に基づいて判断されます。

 したがって、職場において労務不能の状態であれば、家事等を少し手伝った場合でも支給されます。

 ただ、これも程度問題でして、あまり頻繁に家事等を手伝った場合ですと、労務可能の状態になったと思われるかも知れませんし、また、療養が必要にもかかわらず、このような状態を続けますと患者は医師の正当な指示に従ってないのでは、ということになりかねません。

 この場合、給付を制限されたり、最悪、傷病手当金が打ち切られたりすることも考えられます。

出産手当金の場合

 一方、出産手当金につきましては、傷病手当金における労務不能とは全く意味が異なってまして、「被保険者が家事を含む一切の労務につけるかどうか」を問題としているのではなく、「適用事業所において労務につかなかった」ことをいいます。

 これは、出産手当金の目的が母体の保護にあるためで、被保険者が現実に適用事業所の業務に従事することさえなければ、たとえ家事等を手伝った場合でも労務につかなかった期間とされます。

まとめ

 このように、傷病手当金と出産手当金とでは、家事等を手伝った場合の扱いが大きく異なっていますので、制度の趣旨をよく理解の上、適切な対応をとることが必要となります。

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