健康保険では、被保険者および被扶養者に対する療養の給付は現物給付が原則です。
しかし、現物給付を受けようとしても受けられない場合もありますから、このような場合は後日「療養費」として現金で給付されます。
ですから、あくまで「療養費」は現物給付の補完なものであり、被保険者に選択させるものではありません。
やむ得ない事由により、保険医療機関等以外の医療機関で診療等を受けた場合で、かつ保険者がその事由を認めた場合に限られてくるわけです。
やむ得ない事由というのは、例えば、疾病や負傷で緊急に診療等を受けなければならないため、保険医療機関に行って診療等を受ける時間的余裕のない場合等です。
このような特殊な事情があって、保険医療機関以外の医療機関で診療等を受け、保険者がその必要をみとめた場合に限られてくるわけです。
よく、保険医療機関以外の医療機関において自費で診療を受けた場合、後日現金で自費相当額が返還されると勘違いされている方がいますが、あくまで、やむ得ない特殊事情において給付が認められるものであるため、ご注意ください。
また、「療養費」として給付される額は、自費診療で支払った額が、そのまま給付されるわけではないということにも注意が必要です。
あくまで、「健康保険法の規定による療養に要する費用の算定方法に基づき算定した額から、一部負担金(3割負担または2割負担)に相当する額を控除した額」と、「自費で支払った額」を比較して、低額のほうが支給されます。
必ずしも、医療機関への支払い相当額が、返還されるわけではないことにも注意が必要です。
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