<徹底解説!>老齢基礎年金の支給要件について

老齢基礎年金の支給要件は、特例等が多く、思ったより複雑です。概要について、さらっと確認しておきましょう。

老齢基礎年金の支給要件

 老歴基礎年金は、国民年金の保険料納付済期間(※1)、保険料免除期間(※2)または合算対象期間(※3)が10年以上ある者が65歳に達したときに支給されます。(ちなみに、平成29年7月までは25年以上必要でした)

 ただし、昭和61年4月1日に60歳以上の者(つまり、大正15年4月1日以前に生まれた者)は対象外となります。また、昭和61年3月31日以前に、すでに被用者年金制度の老齢、退職年金の受給権を有している者は、引き続き旧制度の年金が支給されるため、老齢基礎年金の対象とはなりません。

老齢基礎年金の支給要件の特例

 平成29年7月までに受給権が発生する老齢基礎年金の受給資格期間については、25年を満たす必要がありますが、昭和5年4月1日以前に生まれた者は特例の取り扱いがあり、生年月日に応じて21年から24年を満たせば受給資格を得ることができます。

       生年月日 年齢
大正15年4月2日~昭和 2年4月1日 21年 
昭和 2年4月2日~昭和 3年4月1日 22年
昭和 3年4月2日~昭和 4年4月1日 23年
昭和 4年4月2日~昭和 5年4月1日 24年

 また、被用者年金制度の加入期間がある方については、以下のとおり、受給資格期間の特例があります。

 (1)次表の左欄の生年月日の方は、厚生年金、共済年金の期間を合算した期間が、右欄の年数以上であれば受給資格を得ることができます。

       生年月日 年齢
        ~昭和28年4月1日 21年 
昭和28年4月2日~昭和29年4月1日 22年
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日 23年
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日 24年

 (2)次表の左欄の生年月日の方は、男子は40歳から、女子、坑内員、船員は35歳からの厚生年金の加入期間が、右欄の年数以上であれば受給資格を得ることができます。

       生年月日 年齢
        ~昭和28年4月1日 16年 
昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 17年
昭和24年4月2日~昭和25年4月1日 18年
昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 19年

保険料納付期間における注意事項

 (1)第2号被保険者としての保険料を徴収する権利が時効によって消滅したときは、消滅した期間の計算の基礎となった月は保険料納付済期間に参入されません。また、その方の配偶者である第3号被保険者としての被保険者期間も同様です。

 (2)第3号被保険者の届出が行われた日の属する月前の、その届出に係る第3号被保険者期間は、保険料納付済期間に参入されません。(ただし、その届出が行われた日の属する月の前々月までの2年間のうちにあるものを除きます)

 (3)第2号被保険者としての保険料納付済期間のうち、20歳に達した日の属する月前および60歳に達した日の属する月以後に係るものについては、次の規定の適用に関しては、保険料納付済期間に参入せず合算対象期間に参入します。

  1. 老齢基礎年金の支給要件
  2. 老齢基礎年金の額
  3. 老齢基礎年金等の支給要件の特例
  4. 老齢基礎年金の支給の繰上げ

注釈(補足説明)

 (※1)保険料納付済期間とは、次の期間を合算した期間をいいます。

  1. 国民年金の第1号被保険者としての被保険者期間のうち、納付された保険料に係る期間
  2. 国民年金の第2号被保険者および第3号被保険者としての被保険者期

 (※2)保険料免除期間とは、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間および保険料4分の1免除期間を合算した期間です。

 (※3)合算対象期間とは、これまでの年金制度の変遷のなかで、国民年金に任意加入しなかったり、国民年金の被保険者の対象となっていなかった場合でも、受給資格期間としてみなすことができる期間のことです。(ただし、年金額には反映されません)

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