<傷病手当金受給時は併給調整にご注意を!>併給調整されるケースとは?

 傷病手当金を受給されている方で、併給調整についてご存じない方もいらっしゃるようですので、併給調整されるケースについて分かりやすくまとめてみました。

出産手当金との併給調整について

 まず、最初のケースとして、「療養しながら傷病手当金を受給していたところ、受給期間中に出産しました。この場合、併給は可能でしょうか?」

 この場合は、出産手当金も受給できることになりますが、残念ながら両方とも受給できるわけではありません。

 疾病に関する傷病手当金と出産に関する出産手当金が、同時に受給されるような状態が生じた場合は、原則として、出産手当金を優先支給して、その間、傷病手当金は支給しないこととなります。

 つまり、いずれの手当金も給料に代わるべき生活保障の性格を持つ給付ですから、重複しては支給されないということです。

 ただし、傷病手当金の額が出産手当金の額より多ければ、その差額は傷病手当金として支給されます。

 また、併給調整により傷病手当金が不支給となった期間については、傷病手当金の支給期間は減少しませんが、上記の差額が傷病手当金より支給された場合は、支給期間は減少となります。

事業主からの差額負担がある場合について

 次に、「傷病手当金と給料との差額の全部または一部ついて事業主が負担したケース」では、その負担した額については、傷病手当金の支給額から控除されることになります。

 これは、傷病手当金は、報酬の全部または一部を受けることができる場合は、その額につき支給されないこととなっているからです。

 たとえ、この支給が「見舞金」として支給された場合でも、給与、報酬ではなく、単なる恩恵的な「見舞金」と認められなければ、支給制限の対象となってしまいますのでご注意ください。

障害厚生年金との併給調整について

 では、「傷病手当金の受給者が障害厚生年金を受けられるようになるとどうなるのか?」についてですが、結論から申しますと、原則として同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病ににより障害厚生年金を受けられることとなった場合は支給されません。

 ただし、障害厚生年金(障害基礎年金も受けられるときは合計額)の360分の1の額が、一日当たりの傷病手当金の額より少額であれば、その差額が傷病手当金として支給されます。

 また、傷病手当金が支給されない時は支給期間の減少はありませんが、差額が支給される場合には支給期間の減少となります。

 あと余談ですが、資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けている方についても、老齢(退職)を支給事由とする年金給付を受けることができる場合には、同様の調整が行われますのでご注意ください。

障害手当金との併給調整について

 最後に、「傷病手当金の受給中に障害手当金を受けることとなった場合はどうなるのか?」ですが、この場合は、受給した障害手当金の額に達するまでの間、傷病手当金の支給は停止となります。

 以上のとおり、いくつかのケースにおいて併給調整がありますので、受給されている方は十分な注意をお願いいたします。

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