雇用保険の基本手当と健康保険の傷病手当金の併給について

 健康保険の傷病手当金の支給を受けている方は結構いらっしゃると思いますが、失業されて、雇用保険の基本手当を受給できるようになった場合、併給できるのかな?と思われる方もいらっしゃると思いますが、結論から申し上げますとこれはできません。

 雇用保険における失業とは、被保険者が労働の意思と能力があるにもかかわらず、職業につくことができない状態をいいますから、失業等給付(基本手当)を受けることは、労働の意思と能力があることになります。

 したがって、失業等給付(基本手当)を受ける期間内に、労務不能を要件とした健康保険の傷病手当金を受けることは、矛盾があり認められないことになります。

 ただ、雇用保険では、15日未満の労務不能であれば基本手当の支給の対象となっています。

 もし、これに該当して失業等給付(基本手当)を受けたものが、傷病手当金を請求するには、離職前から現在まで療養のため労務不能であり、かつ療養の給付を引き続き受けている旨を証明してから、受給した基本手当を返納し、改めて傷病手当金の支給を申請するという大変煩雑な手続きとなってしまいます。

 また、求職の申し込みをした後で、継続して15日以上の疾病または負傷により、職業に就くことができない場合は、雇用保険より傷病手当が支給されますが、健康保険の傷病手当金の支給を受けることができる場合は傷病手当は支給されないことになっています。

 以上より、雇用保険の基本手当と健康保険の傷病手当金の併給はできないということになっていますので、基本手当または傷病手当金を受給されている方は十分な注意をお願いいたします。

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