<医療費が高額になった!>健康保険における高額療養費について

 1か月間の医療費の自己負担額が高額になった場合には、それを補填する目的で健康保険において「高額療養費」という制度があります。所得別に上限を設けて、それ以上の自己負担については、払い戻される制度です。上手に利用して、高齢になると嵩んでくる医療費を節約しましょう。

70歳未満の方のみが対象の場合

  1. 21,000円以上の自己負担額を、「受診者、医療機関、通院、入院,医科、歯科」別に、世帯単位で合算します。
  2. 世帯全体の医療費総額(総医療費)をもとに、表-1から自己負担限度額を計算します。
  3. 1.の自己負担額から2.の自己負担限度額を差し引き、世帯全体の支給額を計算します。

(表-1)

標準報酬月額等  自己負担限度額(単位:円)       多数該当(※2)
83万円以上  252,600×(総医療費-842,000)×1% 140,100円
53~79万円  167,400×(総医療費-558,000)×1% 93,000円
28~50万円  80,100×(総医療費-267,000)×1% 44,000円
26万円以下   57,600円 44,000円
低所得者(※1)   35,400円 24,600円

70歳以上~75歳未満の方のみが対象の場合

  1. 外来分の自己負担額を、「受診者、通院、入院」別に、個人単位で合算します。
  2. 外来(個人ごと)の1か月間の自己負担限度額を、表-3より計算します。
  3. 1.の自己負担額から、2.の自己負担限度額を差し引き、外来(個人ごと)での支給額を計算します。
  4. 1.の自己負担額から3.の支給額を差し引いた後のなお残る外来分の自己負担額と入院分の自己負担額を世帯単位で合算します。
  5. 入院、外来(世帯ごと)の自己負担限度額を、表-2,表-3より計算します。
  6. 4.の合算した自己負担額から、5.の自己負担限度額を差し引き、入院、外来(世帯ごと)の支給額を計算します。
  7. 3.の支給額と6.の支給額を合算した額が、世帯全体の支給額となります。

(表-2)

標準報酬月額等  外来,入院(世帯ごと)(単位:円)   多数該当(※2)
83万円以上  252,600×(総医療費-842,000)×1% 140,100円
53~79万円  167,400×(総医療費-558,000)×1% 93,000円
28~50万円  80,100×(総医療費-267,000)×1% 44,000円
標準報酬月額  外来,入院(世帯ごと)(単位:円)   
83万円以上  252,600×(総医療費-842,000)×1%
53~79万円  167,400×(総医療費-558,000)×1%
28~50万円  80,100×(総医療費-267,000)×1%

(表-3)

標準報酬月額等外来(個人ごと) 外来,入院(世帯ごと)
26万円以上18,000円(※3)  57,600円(※3)
住民税非課税者 8,000円     24,600円
住民税非課税者(※4) 8,000円     15,000円

70歳未満と70歳以上75歳未満の方が混在する場合

  1. 70歳以上75歳未満の方の自己負担額に、70歳以上75歳未満の自己負担限度額を適用し、支給額を計算します。
  2. 70歳以上75歳未満の方のなお残る自己負担額と70歳未満の方の自己負担額を合計します。
  3. 2.の合計した自己負担額に、70歳未満の自己負担限度額を適用し、支給額を計算します。
  4. 1.の支給額と3.の支給額を合算した額が、世帯全体の支給額となります。

支払方法について

 原則として、現物給付となりますが、そのためには、事前に「健康保険・限度額適用認定申請書」(※5)を病院等に提出して、「健康保険限度額適用認定証」の発行を受けておく必要があります。

 この「健康保険限度額適用認定証」を保険医療機関の窓口で提示して、自己負担限度額(高額療養費算定基準額)を支払うことにより現物給付として処理されます。(1か月ごと)

 ちなみに、自己負担限度額を超える分については、保健医療機関が診療報酬と合算して、保険者に請求することになります。

 なお、高額療養費算定基準額は所得の状況などによって変更となるため、差額が生じる場合があります。その場合は事業所を管轄する協会けんぽの都道府県支部や加入している健康保険組合に申請の手続きをすることになります。

注釈(補足説明)

(※1)被保険者が市区町村民税の非課税者等の場合、ただし、標準報酬月額が53万円以上の方は、市区町村民税が非課税でも、標準報酬月額による区分での扱いとなります。

 (※2)直近の12か月間に、3回以上高額療養費の対象となった場合の4回目以降が、多数該当の対象となります。

 (※3)多数該当の場合は、44,400円となります。

 (※4)住民税非課税者に加えて、被保険者とその扶養家族全ての方の収入から、必要経費・控除額を除いた後の収入がない場合が該当となります。

 (※5)市町村民税が非課税の方は、「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」の提出となります。

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