障害厚生年金には、後ほど障害の程度が増進した場合の事後重症や新たに障害が発生した場合の併合認定、加重認定といった制度があります。その時になって混乱しないように概要を確認しておきましょう
事後重症による請求について
障害認定日の時点では障害厚生年金を受けられる程度の障害の状態にない者が、障害認定日から65歳に達する日の前日までに障害厚生年金が受けられる程度の障害状態になった時
→ 事後重症の請求により障害厚生年金が受給できます
ただし、以下の者は除かれます。
- 繰上げ支給による老齢基礎年金の受給権者
- 旧法または旧国民年金法による障害年金の受給権を有していたことがある者
併合認定について
「初診日が被保険者期間中にある傷病(基準傷病)」と、それ以前に初診日のある「基準傷病以外の傷病」により障害状態にある者が、
基準傷病の障害認定日以降65歳に達する日の前日までに、「基準傷病による障害(基準障害)」と「他の前発障害」を併合して、初めて障害等級1級または2級に該当する障害状態になった時
→ 「基準障害」と「他の前発障害」を併合した障害厚生年金が支給されます。(ただし、繰上げ支給による老齢基礎年金の受給権者は除かれます)
なお、基準障害と前発障害の区分は初診日で判断し、納付要件等は基準障害での確認となります。
(具体例)
基準障害(障害等級3級)+ 他の前発障害(障害等級3級)→ 初めて、障害等級1級または2級に該当 → 併合した障害厚生年金を支給(障害等級1級または2級)
加重認定について
1級または2級に該当する障害厚生年金の受給権者が、別の傷病によりさらに障害となり,その障害についても1級または2級に該当する障害厚生年金が受けられる場合は、
→ 2つの障害厚生年金は支給せず、後の障害についてその程度を定める日において、前後の障害を併合して障害等級1級または2級に該当する程度を決定して、その程度により、1つの障害厚生年金が支給されます。(従前の障害厚生年金の受給権は消滅します)
ただし、以下の場合は併合認定されません。
- 前後いずれの障害も、単独で障害厚生年金が受けられるものでないとき
- 後の障害が被保険者でない時に生じたものであるとき
(具体例)
先発障害(障害等級1級または2級)+ 後発障害(障害等級1級または2級) → 併合した障害厚生年金を支給(障害等級1級または2級)
併合認定における支給調整について
期間を定めて前発の障害による障害厚生年金が支給停止されているときは、その残余の支給停止期間中は併合認定による障害厚生年金は支給停止され、その間は後発の障害の程度による障害厚生年金が支給されます。
また、後発の障害が業務上の事由に基づくものであるため、併合認定による障害厚生年金を支給停止するべきときは、その間、従前の障害厚生年金が支給されます。
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